【失敗禁物】


「ミナナ、妊娠した?」


思わず彼を叩いてしまった。


叩かれても、痛いという前に、ミナナに構ってもらえた事実が嬉しい彼は特に怒ったりなどはしない。


「ゴムは毎回させているはずですが……」


――まさか、やっている最中に外したのか。


意識が点滅するような快楽がある中で、しろと言っても、きちんとしたかどうかなどミナナの知るところはなかった。影で穴でも空けられようものならば、それは妊娠もするだろう。


――別の人に変えるか。


手頃な性欲処理として、ミナナは彼と時折、寝ていたのだが、妊娠なんてめんどうごとがあるのならば早々に見放すべきなのかもしれない。

「避妊もできないような人とは付き合いたくないので、もう二度と会わないでください。さようなら」