「柔らかい」


「胸に顔を埋めないように」


「ドキドキしてるね」


「人間ですからね、鼓動なければ死にます」


「俺に抱き締められて感じちゃった?」


「殺意が芽生えるばかりです」


「つれない……」


案外、すんなりと解放された。ベッドの端に腰掛け、横になる彼を見る。


手を握られて、あちらもこちらを見ていた。


「ミナナが風邪引いたら、即、俺に言ってね」


「看病ついでに襲う気なのでは?」


「いくら俺でも病人は襲わないよ。添い寝して温めてあげる。ついで、ミナナの体内のものを俺の体内に――」


「襲われると同じ恥辱がありますね。にしても、なんで風邪なんか。お腹出して寝てましたか」