【病は気から】


「俺は、病気なんだ」


「病院でもう二度と出られぬよう、隔離されてください」


「これはミナナにしか治せない病なんだ」


「とりあえず、本を返してください」


読んでいた本を奪われたので、奪い返そうにも、背が高い彼が手をあげれば、ミナナの身長では届かなかった。


「俺の病。そう、それは恋という――」


「いいから返せっ」


ミナナの攻撃。
彼の足を踏んだ。


爪先だけという際どい位置だったために彼が怯み、怯んだところでミナナは本を手にとる。


「今後、私から本を取ろうとするならば、二度と会いませんからね」


「ミナナは本当に本が好きだよねぇ。あ、今度、図書館を丸々君にプレゼントしてあげる」