【愛しているの形】


「愛しているよ」


ずいぶんと平坦な言葉だけど、ミナナはそれが彼にとって最大の言葉であると自覚していた。


「もう毎夜毎夜、ミナナの夢ばかり見るんだ。こうね、俺はいつも抱き締めて、きゃーきゃー可愛くはしゃぐ君とじゃれ合うんだよねぇ」


――さすが夢の私。悲鳴はきちんとあげるんだ。


分厚い本のページを捲りながら、話半分で聞いたことを思うミナナ。


そうとは知らず――いや、理解もしていない彼は、顔をほんのり赤く染めて酔っているように愛を語った。