記憶力には自信あったんだけどな
駄目だ 全然思い出せないや

それほど たいした思い出じゃないのかな……?



「う~~ん……」




眉間に皺をよせ 考え込んで歩いていると

「危ないっ!!!」


「きゃっ」




ずどどどどーーーーーんっっっ!!!!!

バサバサバサー……っ



「い、てててて……」



何が起こったのか一瞬分からなくて ヒラヒラと舞い落ちてくるプリントを見つめて呆然と座り込んでいた。




「大丈夫っ?!! 怪我ない? どっかぶつけた?」


「いえ……大丈夫」



「良かった~…
あっ プリント… すんげーぶちまけちゃった」




声をかけられ異常ないことを答えると安心したようにほっとして散らばっているプリントを拾い始めた男。



なんだろう……
おかしいな どっかで見たことあるような…



「どうかした? やっぱりどこか怪我したんじゃ…」




じーっと凝視されて気付いたのか動かないあたしを心配してきた。



「あっ いえ
すいません びっくりしちゃって…
助けてくださってありがとうございます」



慌ててお礼を言うと男は苦笑いしながら話し出した。




「どう致しまして…って
結局 一緒に落ちちゃったから意味なかったよね
階段を下りながら考え事は危ないよ?」