「ごめん。やっぱお前とは無理だわ」


明かりのない静かな部屋に

男の声が響いた。


「..なんで?えっ?

ちょ意味分かんないんだけど?!」

「いやー。元カノがヨリ戻したいって言うからさー」


男は視線も合わさず

携帯をいじりながら煙草をふかし

当たり前のようにあたしの財布を開ける。


この男は彼氏の慎志。

1ヶ月前から付き合っている。

彼女と別れたことで悩んでいる慎志を

あたしが拾った。


拾ったって言い方はよくないかもしれないけど。


会う度にHして。

っていうかそれしかしてない気がする。


それに毎回なんだかんだと理由つけて

あたしのお金を取って行く。


ヒモにされてるかも。

正直そう思ってた。


自分で拾ったのにね。


でも好きだった。

大好きだった。


だから..別れたくなかった。


「..ふーん。別にいーよ。別れよ。

もともと遊びだしね。」


でもそう言うしか出来なかった。


それしか知らないから。


あたしが知ってる唯一の自分を守る方法。


「マジで?あっそ。

おめえってそーゆー奴だったんだな。

さいてー。」


そう言ってろくに服も着ず

慎志は部屋を出て行った。