「ちょっ!?ここ、駅前っ!!」


残業をしたうえ、本田さんと話していたから、帰宅ラッシュの時間は過ぎ、人通りは少ないけど……


私の訴えを無視し


「ねぇ、玲子さん」


本田さんは私の耳元で


「ずっと会いたくて、会いたくて仕方がなかった人にやっと会えたんだ。
だから、絶対に離さない。
玲子さんが“離れる”って言っても、絶対に」


そう囁いて、ぎゅうっと強く抱きしめる。


耳元で囁かれた私の心臓はすごい早さで動いている。


私は本田さんのシャツを掴み


「私も……、離れない」


小さな声で答える。


本田さんは少し私の身体を離し、左手は背中に回したまま、右手で私の頬を撫で


「玲子さん……、好きだよ」


そう言って、私を上に向かせ、キスをした――…