本田さんはまっすぐ私を見て


「ねぇ、その女の人、誰だかわかるよね?」


そして、にこっと笑う。


会った事があるのか無いのか聞いて、その答えだとすると、やっぱり……


「……私?」


だよね?


私は美人でも何でもない。


どこにでも居そうな普通のタイプ。


そんな私に一目惚れなんて、有り得ないよ。


そう思うから、私は自信なさ気に答える。


「正解」


本田さんは嬉しそうな顔を見せ、私の頭をくしゃっと撫でる。


「あの日さ……、俺が玲子さんの会社の担当になって、挨拶に行った日。
あの日、玲子さんがお茶を持って来た時、すごく驚いた。
だって、ずっと会いたくて、でも、会えなかった人が目の前にいるんだぜ?
本当、すごく嬉しかった」