―次の日―


私は重い気持ちで会社に向かう。


“本田さんの事が好き”


そんな気持ちになんて、気付きたくなかった。


だって、本田さんには他に女の人が……


っていうより、ただ、私がからかわれていただけ。


それなのに、本田さんの言う通り、本当に好きになるなんて。


他の女の人と楽しそうにしている本田さんの姿を見て、苦しく、悲しい気持ちになるだけ。


辛いだけなのに……


この気持ちに気付かなければ、ショックを受ける事なんてなかったのに。


「はぁ……」


「玲ちゃん、どうしたの?朝からずっとため息ばかりついているけど……。大丈夫?」


パートのおばさんは、心配そうな顔をして私を見ている。


無意識に朝からずっと、ため息ばかりついていたみたいだ。


「大丈夫ですよ?あっ、私、これコピーしてきますね」


私はにこっと笑い、その場から逃げる。