「ねぇ、玲子さん……」


本田さんだ。


本田さんは私の腕を掴み


「なんで、さっきあんなに悲しそうな顔をしていたの?
それに……、なんで、今、俺と目を合わせてくれないの?」


嫌な気持ちになったあの時。


私、そんな顔していたんだ……


「それは……」


さっき、本田さんが女のコと楽しそうに歩いている姿を見て、自分の気持ちがはっきりとわかった。


正直、私は本田さんの事を何も知らない。


だから、なんで?


そう思うのだけど。


でも、私は自分でも気付かないうちに、嫉妬するくらい本田さんの事が好きになっていた。


もしかしたら、“先入観”で、嫌いと思っていただけで、本当はずっと好きだったのかもしれないけど。