『ふ〜ん。でも、先入観だけで相手を見ない方がいいんじゃない？

それにさ、“好きと嫌いは紙一重”って言うじゃない？“好き”って思っていた人の事を急に“嫌い”になったり、その反対で“嫌い”って思っていた人の事を気付けば“好き”になっていたり……』


まぁね……


私は黙って智花さんの話を聞く。


『だから、玲ちゃんもその相手の事、“苦手なタイプだから関わらない”じゃなくて、相手の事をよく見てから、自分の気持ちに正直に動いたらいいんじゃないかな？

もし、気になるならそれを伝えたらいいし、相手の事をよく見ても、好きになれないなら、はっきりとした態度を取ればいいんだし』


“自分の気持ちに正直に”か……


あの雨の日以来、本田さんの事を気にしているのは確か。


だけど、これが“本田さんの事が好き”って気持ちなのかはわからない。


電話を切った後も、やっぱり私は本田さんの事を考えていた。