彼もまた那智と同じように忌み子と言われた双子の片割れだと父から聞いた事がある。



兄君は生まれた時から体が弱く、その為彼は生かされたのだ。




兄君が亡くなった時の代わりに・・・。





那智は初めて会った時有栖川の姫として挨拶するか、那智として挨拶するかを迷った。




そして彼の言葉を聞き面白いと思った那智は、那智として接する事を決めたのだ。




思った以上に捻くれていた王だったが、瞳の奥の奥に寂しい色を宿していた。




あの王は人を信用していないのだろう。



政務などはできる体ではないが、兄君はまだ存命だと噂で聞いた。



そんな噂が流れているくらいだ。王への臣下の態度も想像がつく。





兄の代わりに生かされ、兄の代わりに王になった彼の王は、もし万が一兄君が元気になった時王の座を追われるのだろう。




「めんどくさい世界じゃのう・・・」