「私からも、那智華に頼みたい事がある」



いきなり志高が話を変えた。


志高の挙動不審な様子から、良い話ではないと感じつつ、那智は返事をする。



「内容にもよりますが・・・・何でございましょう?」



これ以上面倒事は持ち込んでくれるなと顔には出ている。



「先に言っておく。那智華の考えている通り、面倒事だ」



苦虫を噛み潰したようなとよく聞くが、正にこの時の那智はその表現がぴったりあった。




「・・・・どのような内容で・・・?」



聞きたくはないが、聞かなければどうにもらならない。



志高は一回息を吐くと、那智をしっかりと見て話し始めた。



「宴がある事は知っているな?」



もうすぐ宴がある事は女官たちから聞いていた為、那智は頷く。



「宴には王と正妃が並んで出る事になっている」



この先の展開が読めた那智は心底嫌そうな顔をする。



「今までは私一人で出ていたんだが・・・・そろそろ正妃を決めろと周りが煩い」




そしてここには華族第一の位の那智がいる。同じ忌み子で、最近王とは仲良しともっぱらの噂の・・・・。