「主上。有栖川の那智として頼みたい事がございます」



姿勢を正し、顔を上げた姿は有栖川那智だった。




「内密に毒を処理しくれる者を送ってほしいのです」



志高の顔も王の顔へと戻っていく。



「ほう。美沙と言う者ではどうにもならなくなったか?」




那智は昨日確かに美沙に処理させると言った。


それを一日で覆すとは思っていなかった為、内心は驚いている。



「思っていた以上に増えました」



刺客と毒物がとは言わなくても志高には伝わる。



「このままでは・・・・遠くない未来に美沙は死にましょう」



那智の言葉は予言ではなく、断定だった。そして恐らくそれは確実に来る未来だ。



「私の侍女として後宮に来た以上、私には美沙を守る義務があります」




たとえそれを美沙が望んでいないとしても・・・。美沙は那智の為なら喜んで命を差し出す。しかし那智はそんな事望んでいなかった。