「父上に頼んで、もう一人有栖川の侍女を呼んでもらっても良いのだが・・・」



那智は自分で言ったものの表情が曇る。


難しいという事を知っているためだ。ただでさえ今那智は美沙と言う特例の侍女を連れている。




そこにもう一人有栖川家の侍女が来たとなれば・・・特別扱いが過ぎると騒ぐ者がたくさんでてくるだろう。


これ以上厄介な贈り物が増えるのは遠慮したい。



しかし手を打たなければ、そう遠くない未来に、確実に美沙は死ぬだろう・・・那智の代わりに。



「やはりここは手を打とう。このままでは美沙が体を壊す」



体どころか命までもとは那智には言えなかった。



美沙は美沙で、自分の愛する姫の優しさが嬉しかった。



侍女など物にしか思わない姫が数多くいる中、那智はいつだって美沙を気遣ってくれていた。




(姫様は優しすぎるのです・・・この後宮でいきていくには)