皆が疲れ結論も出ないまま時だけが流れた。



那智を殺せという案が根強く残る中、那智の父である有栖川家本家当主が重い口を開いた。




「那智は殺さない。生きていれば嫁としての使い道があるだろう。殺して終わるより、那智には駒として生きてもらおう。この事について今後一切口を挟む事は許さぬ。心しておけ」




父の言葉を酷いう言うものがいる。


けれども那智は知っている。



父は那智を守ろうとしたのだ。


あのまま親類達に任せていたら、那智は確実に死んでいた。


だから父は酷いと分かっていながら口にしたのだ。



その父は那智が幼い頃から那智に言い聞かせた。




「お前には辛い思いをさせる・・・・。だけどね那智。生きるために学びなさい。生きるために強くなりなさい。お前を殺せと言った彼らが、何も言えなくなるくらいの生き方をしなさい」




父は何度も何度も那智に言った。

生きるために強くなれと。

死にたくないなら学べと。


その通りに那智は生きた。