それはそれは凄い騒ぎになった。



始まりは、朝方那智を起こしにきた女官が絶叫をあげた事から・・・



「那智姫様。朝にございます」



そう言って入っていけば、そこには王がいた。女官も驚いた事だろう・・・いつもは那智しかいない部屋に、いつもは朝まで姫といない王がいるのだから。



女官と言う立場も忘れ、王の前だという事も忘れ叫んだ。



その声に気が付いた他の女官たちも駆けつけ、その場は騒然とした。



それを静まらせたのは・・・やはり志高だった。



「静かにしろ」



その一言で騒ぎは収まる。冷徹非道だと言われるこの王は、後宮でも人気があるのは顔だけで、恐れられている。



「今日の朝餉は那智華ととる。ここに持って来い」




早くしろと言わんばかりに女官たちを追い出した。



女官は王が那智華と呼んだ事もあり、部屋を出た女官の騒ぎは後宮中に広まっていった。





その声は那智たちにも聞こえている。