「那智華です。っというか一応貴方は王ですからね。後宮では姫である妾にも守る義務があります」




本当に仕方がなくですがね。



そう言って笑う那智は慈愛に満ちた優しい目をしていた。




「分かった。しかし王である余にも姫を守る義務がある・・・だから毒物にはできるだけ触るな」



余と言う志高に、王と志高の使い分けがしっかりできるんだなと那智は感心する。



「聞いているのか?毒物を触るなと言っている」



驚き何も言わない那智に痺れをきらした志高が強く問いかける。



「・・・・でも妾がやった方が早いのです・・・」



確かにそうだと思う他の者が一つ見つける間に、那智なら三つは見つけるだろう。



「駄目だ。許さぬ」




ここで言って止めておかなければ、有栖川当主が止まらない。




嫌な汗が出てきそうになる。