那智の言葉が聞こえていない家臣たちは不思議そうに見ていたが、志高が言葉を放てば・・・そちらに視線が集中する。



「兄君は・・・・」



ざわついていた室が・・・一気にシーンとなる。


それだけで・・・どうなったのかが分かるほどに。


「兄君様は・・・偽物でした」



那智の父が華族を代表して話し出す。



「2ヶ月も前に・・・兄君様は亡くなられていたのです。それを知った馬鹿な華族が・・・・似ている者を連れてきて、自分たちの思うままに政治を行うとしたのです」



那智にとっても、志高にとっても・・・・思いもよらない事実だった。



太輝は・・・生きていると思っていた為だ。



体調は悪いけど・・・生きていると・・・そう思っていた。



だから意外だったのだ。



今回の謀反が・・・そこまで元気になったのかと。



しかし・・・違ったのだ。



太輝は・・・2ヶ月も前に死んでいた。