室に入れば・・・前より減った家臣が頭を下げて待っていた。



王がいつもの椅子に座り、那智が正妃の椅子に座る。



志高があまり大きくないが、よく通る声で「面をあげよ」と告げると・・・・家臣の顔には先ほど志高が廊下で見たような安堵の色が浮かんでいる。


その思いを代表するかのように、那智の父が一歩前へ出た。



そして穏やかな笑顔で志高に声をかける。



「主上・・・よく御無事で・・・・」



一瞬父が那智を見たが、那智には何も言わなかった。



生きていた・・・それだけで十分なんだろう。



すると、次は森ノ宮家の当主が話し出す。



ここから見える柊也がかなり疲れていた為・・・・柚那のせいだろうなと、この場に相応しくないと分かっていても笑いが漏れる。



それを志高が横目で叱り、那智は顔を戻した。



二人が揃って森ノ宮家当主を見れば、待っていたように森ノ宮の当主が続ける。



「反乱を起こした者は皆・・・捕えました」



那智は小さく息をはき・・・志高に聞こえるくらいの声で囁いた。



「どうにか・・・今回も・・・生き残れたみたいね」