柚那が那智に話した以上に・・・今の志高の立場が危うい事を父は知っている。



「行かせない」



低い声で告げれば、那智の顔も曇る。



「父上になんと言われても・・・私は戻ります」



例え死ぬことになっても・・・・その覚悟を那智は持っていた。




那智はずっと言えなかった事を話す。




「私は・・・忌み子というだけで嫁がされた時・・・恨みました。何を恨みたいのかも分からず・・・・ただ忌み子という事を恨みました」




生まれた順番で決まってしまう世界が・・・憎かった。





「嫁いだ王も忌み子でした・・・それが今回の発端ですよね?」




太輝が王になっていたら・・・こんな事にはならなかったはずだ。




ただ後から生まれたというだけで・・・いつだって那智も志高も追いやられる。





「しかし・・・王が何か間違えた事をしましたか?」