けれど・・・龍の笑顔を見た時・・・悲しそうに笑う志高を思い出したのだ。



好きかと聞かれれば・・・正直分からない。



ただ・・・あの場所で一人で立つ王を守ってあげなければ。



いつか本気で笑えるように・・・そんな場所を作ってあげなければと思ったのだ。




いつだって不器用で、那智に迷惑な事しか運んでこなかった王。



だけど、不器用なりに那智の心配をし、那智を愛していた。




あの後宮で那智が生きるのを望んでくれた・・・数少ない人だ。




「龍・・・・私は・・・・・」



そなたと行きたい。でも・・・・行ったらあの王は、静かに自分を失くしていく。



そんな気がした。



自分が何で、誰であったかを・・・忘れてしまうだろう。