那智が梅の木の下で琴を弾いていれば・・・・会いたかった人がこちらに歩いて来るのが見える。



「・・・・・龍・・・・・」



風にのって声が届いたのか、龍は那智に近付いてくる。



昔と変わらぬ笑顔で・・・。



「那智・・・・久しぶりだね?」



少しだけ上ずった声が・・・龍の緊張を那智に伝える。



「あの時以来だね・・・・・」



あの後那智に起こった事を、龍は何も知らない。



那智も言うつもりはなかった。



「龍・・・・・久しぶりに琴を聞いてよ」



那智は昔と同じように自分の横を進める。



そこに龍が座れば・・・・何も知らなかったあの頃に戻ったような気分だ。