那智の故郷には二つの川がどこまでも仲良く寄り添うように流れている。


その二つの川の名は・・・・那智の川と、柚那の川。


那智と柚那の名前の由来にもなっている川だ。




仲良く並んで流れる二つの川のように・・・那智と柚那も仲良く生きて行ってほしい。




那智と柚那の名には・・・そんな願いも込められている。



いつだって二人で助け合って生きてきた二人。



だから柚那にしか・・・那智の心を救ってやることはできなかった。



「ねぇ・・・那智?もう一度聞くよ?何があったの?」



問い詰めるわけでもなく、ただただ優しく見つめる柚那の瞳。



その目に那智は弱かった。



那智は一つ溜息をはくと・・・・話す決心をした。



「妾は・・・・傷つけたのかもしれない・・・」



一人ぼっちの王を・・・傷つけたのかもしれない・・・・あの日。




どこを見ているのか分からないような瞳で、それでも那智は続きを話し出す。




「分からないの・・・自分の気持ちが・・・・」