あの後柚那と那智の声を聴き・・・父や母、兄たちも心配してかけつけた。


泣きながら柚那の名だけを呼ぶ那智の変わりように、皆言葉を失ったが・・・最後には微笑んだ那智にホッと心をなでおろした。


「那智ちゃん・・・・お帰りなさい」


母が優しく声をかければ、今度は母に抱き着き那智は泣いた。



父と兄はそれを見ながら・・・いつだって柚那と妻(母)には敵わないと肩を落とす。




泣いて泣いて顔を上げれば・・・自分の大好きな家族が心配そうに那智を覗いている事に・・那智は申し訳なくなる。




「心配かけてごめんなさい・・・・」



また泣きそうになる那智を・・・柚那が急いで抱きしめる。



「家族なんだから・・・当たり前でしょう?那智が笑っている・・・それだけで私たちは十分なのよ?」



何も聞かず受け入れてくる家族の存在が・・・那智の心を優しく包んだ。