志高は壊れた那智を見るのが辛かった・・・・。


壊したのは・・・自分なのに。


あの後・・・志高は何度も那智に想いを伝えたが・・・遅かった。


那智の心には何も届かない。


人形のような那智の髪を毎日志高がすき、寝るまでの間その日合ったことを話した。


那智は何も変わらなかったが・・・・それでも志高は繰り返したのだ。



しかし・・・・それでは那智が戻らないという事を志高は気付いていた。



梅の木に付き、那智を座らせると・・・志高は那智に話し出す。



那智に聞こえているのか・・・分からないが。




「那智華を初めて見たのは・・・ここだったよ。泣きながら琴を弾く姿に・・・目が奪われた。そして心を奪われたんだろう」




志高が気付かない間に・・・少しずつ育っていた想い。




それが那智を傷つけた。



「泣きながら・・・それでもただ一人の為に歌う歌・・・歌われる相手が羨ましかったよ・・・自分もそんな風に思われたい。そう思った」



気持ちは本気だったのだ。



風で梅の木が揺れる。



志高はある決心を固めていた。