志高が那智を抱くのを・・・那智はまるで他人事のように見ていた。


もう涙も、声も出てこない。



そこにいるのは・・・人形のように止まってしまった自分。



「那智華・・・・那智華・・・・」


志高は何度も何度も那智の名を呼びながら・・・那智の体を貪る。



まるで獣のように那智には見えた。



全てが終わった時・・・志高の前にいたのは・・・何もうつしてはいない那智。



その時になり・・・・志高は自分が怒りに任せ・・・何をしたのかを理解した。



「那智華・・・・?」



那智の名を呼ぶが、那智はその声に反応しようともしない。



「那智・・・・華・・・・?」


それでも志高が呼べば、那智は人形のような目で志向を見る。



「もう終わりましたか?」



それが志高には・・・もう良いのですか?と聞こえた。



その日から・・・・志高は華を失くした。



その華がどれだけ大切だったか・・・・・どれだけ後悔しても遅かった。