「・・・・龍様はこちらには見えてませんよ?」


逸る気持ちを抑えて、那智はできるだけゆっくりと話す。


笑顔が引きつってしまった気もするが・・・・最後まで押し通すしか那智のできる事はない。



「何故・・・こちらに龍様が見えると思われたのですか?」



反対に那智が問えば、志高の目が変わる。



その問いの答えは那智が一番分かっているはずだ。


「何故と・・・?それは私が聞きたい。私が知らないとでも思ったか?」


那智の顔がみるみる蒼白に変わっていく。



それでも必死に隠そうとする那智に、志高のイラつきは爆発する。




「恋仲だったのだろう?私の前で愛の言葉を堂々と交わすほど・・・!」



那智は驚きを隠す事ができなかった。



(・・・・バレていた・・・?でも・・・・何で・・・)



那智の驚く顔すら今の志高には気に入らなかった。



「知らないとでも思ったか?私が何も知らないと思って・・・しかし那智華・・例え私が何も知らなくても・・・あれはないよな?」



志高の目に那智は狂気を見た。