「だけど・・・那智・・・今なら・・・」


龍の言葉を聞けば聞くほど・・・那智は泣きたくなる。


(・・・・できない・・・・それはできない・・・・)


分かっているはずなのに、無理を承知で言ってくる龍の那智への想いの強さに・・・那智は頷いてしまいそうになる。



しかしそれを抑えているのは・・・那智の心の強さだった。



-パチン-


那智は・・・生まれて初めて本気で人を叩いた。


「目を覚まして・・・・妾が頷かぬと・・・分かっているはずじゃ・・・」


ずっと側にいたのだから・・・



那智が龍に付いて行く未来を選ばないと、龍だって分かっているはずなのだ。



「龍・・・・そなたと行けたら・・・妾は死んでもいい・・・」


こんな牢獄で死ぬ自由もなく生きて行くぐらいなら・・・龍と共に生き殺される方が那智にとっては幸せだ。


「だったら・・・・・」



龍が続けようとするのを那智は遮った。