梅は二人の恋心を表している。


その梅がまだ咲いているか・・・・。



まだ自分の事を想ってくれているかと・・・・龍は聞いたのだ。



那智が何も言えずうつむけば、志高もどういう事だと目で龍に問いかけている。



龍が何でもありませんと言い、志高の前から下がろうとした時・・・・那智は志高と龍にだけ聞こえるくらいの小声で囁いた。



「梅は・・・まだ・・・・咲いておりますよ」



那智に言えるのはそこまでだった。



龍にそう告げると、後ろも振り向かず去っていく。



志高は那智の言葉を考えていた・・・。


(梅は・・・まだ・・・・・・咲いている?)



当たり前だが、梅の季節は当に過ぎている。



その時・・・・志高には那智と龍の言葉の意味が分かった・・・・。




(梅は・・・・恋心・・・・)



那智と龍だけの合言葉だったのだ・・・・。