「・・・ケンカした。」



言ってみた、静かに。聞こえないくらいの声で。




実際、ケンカというのかもよくわかんない。



逃げてきたのは、あたしだ。





「なんで。」



「藍羽ちゃんが・・・理の事諦めるって。
 

あたしは、何にも言えなかった。
あたしが口出しすることじゃないかな、って。

でも、よく考えたらあたしを信頼してくれてるからこそ







——藍羽ちゃんは話してくれたのかな。」



一部始終、全て話した。




「どうだろ」、という目線を隣の男に投げかける。






「・・・まあ、さ。」





静かな廊下に、あたし達の声が響く。