「渡辺じゃないっすか。」


——渡辺だった。

「お、いいところに来た将樹!!もうこんのぶすがよお!!」




「またぶすって言ったよ。レディーに向かってぶすって。」




「おま、おまえがレディーなら俺もレディーになれるわ!!」




「そこ全力で否定しないで。なんか傷付く。しかもさっきよりも真顔。」



「いい加減にしよう、お二人方。」



髪の毛をひっつかんで渡辺はあたしらを引き離す。




「おい、俺の愛しい髪の毛ちゃんが抜けるだろーが」


「は、あんたなんか全部抜けてハゲちまえ。」


「いちいち言い合いすんな。授業始まってる。俺捜しに来たんだけどお前らを。あと藍羽・・・」





そこまでいって、渡辺は当たりをきょろきょろと見渡した。



「あれ、のんか。藍羽は?」



「んー。あー。ちょっとね。んー。」




「んー。って2回言ったぞ今。」