自分自身の声で俺は目を覚ました。
身体全身がびっしょりと濡れていた。
「夢…か」
目覚めの悪い夢だ。
よりによってあの時の夢を見るなんて。
『政宗。俺を、撃て』
今でも耳に残っている。
はっきりと、鮮明に。
最後の父の声が。
そして実感させるのだ。
父を殺したのは俺だ、と。
「ちっ…胸くそ悪いわ」
がしがしと頭を掻く。
そんな時、「政宗さま。」と障子の向こうから女中の声がした。
「なんだ?」
この気分の悪いときに一体何の用なんだ。
「さくら様がお会いしたい、と」
ああ、あいつか。
今は会う気にはなれない。
「今は会わん。何か適当に理由をつけて断っておけ」
俺はそう言い放った。