だが鋼は近寄るなと言わんばかりの目で近江を見る


「お兄様……」


「……失礼ですが、あなたは奥方様が不幸せだったと思っているのですか?」


「当たり前だ。こんな死に方するなんてあまりにも可哀想だ」


「確かに可哀想です。ですが決して不幸せでなかったはずです」


近江から琥珀を受け取り、京介に受け渡す


「この子は……」


「頭領と奥方様の娘、琥珀様です」


琥珀は眠っていてる琥珀を見て、京介の手は震えた


「……我々はもう行きます。16年後、また来ます」


鋼と近江は頭を下げ、そっと車に乗り込んだ


そして静かに、車は動き出した