「俺は気軽に女を抱ける質じゃないんだ」
「あたしだって誰でもいいわけじゃない」
「ソニア」
ランダーは振り向くと、小さな手を取ってソニアを寝台に横たえた。
「いいから、口を閉じて休め」
「バカ!」
ソニアはランダーに枕を投げつけた。
ランダーはそれを軽々と受けると、ソニアの頭の下に入れてやった。
それからソニアの唇にまともにキスをする。
「寝ろ」
ソニアは唇を押さえると、おずおずと毛布を口元まで引き寄せた。
「ねえ、いつかは抱いてくれる?」
「ソニア」
「分かった。分かったわよ。今日はもう言わない」
――今日は、か
ランダーはあきれたように頭を振ると、自分も寝台に横になって目を閉じたのだった。