「お菓子♪
お菓子♪」


二人はそう言って飛び回る。


『お菓子はなしー』


「どうして?」


ハルは小さな手で私の手を握り締めて私を見上げる。


『体に悪いのよっ。
お菓子はおやつの時間だけにしか食べちゃ駄目なの』


悲しそうな顔をしてハルは「そっか」と言う。


「おねぇ、この前太るからお菓子駄目って言ってたじゃん」


コウは痛いところをついてくる。
記憶力だけは優れている彼がたまに憎い。


『そっ、そんな事言ったっけ?』


知らないふりをする私に「デブ!」とコウが叫ぶ。


『あー。
そんな事可愛いレディに言うの?』


鼻にシワをよせて髪をくしゃくしゃにする。


「おねぇ、デブなの?」


ハルは不思議そうな顔をして黒目がちな瞳で私を見る。


『おねぇはスマートです!』