ワーーーーーッ!!




マークを振り切って、佐野先輩が、シュートを決めた。


観客もベンチも、大歓声が湧く。




だけど…あたしの心の中には…もやもやとした何かが渦巻いていた。


いつもの楽しそうなプレーじゃない。


どんな局面でも、ひたむきにボールを追っていた、佐野先輩じゃない。


何か躍起になっているような、


まわりを見ていないプレー。




こんなの……


佐野先輩じゃない!!



選手に手渡すために抱えているタオルを、ぎゅっ…と握り締めた。





ピーーーーッ


タイムアウトがかかって、選手にタオルを渡しにいく。


その間…

佐野先輩は、一度もあたしの顔を見なかった。