パンフレットに書かれた期間を見れば、ちょうど今開催中だった。

今月末までやっているみたいだ。



「蓮……あたし、行くよ」

「そうか」



パンフレットから顔を上げれば、蓮がとても穏やかに微笑んでいた。



怖い気持ちがなくなったわけじゃない。

父親なんて見たことない。母親は最低なクソ女。

だけど、隼のお父さんは、とても素敵な人だった。

隼のお父さんを見て、少しぐらい話を聞いてやっても良いかなと思った。

今なら、少しは冷静に話を聞ける気がした。



「蓮、一緒に行ってくれる?」

「あぁ、もちろん」



蓮の返事に、嬉しくなって抱きついた。



「ありがとう、蓮」



蓮が抱きしめ返してくれる。

蓮の体はとても温かくて、大きくて、強くて、蓮と一緒なら、なんでも乗り越えられそうな気がした。