「そこの猫耳メイドさーん、注文したいんですけどー」
湊谷がわざとらしく大きな声で叫んだ。
その言葉があたしに向けられているとすぐに分かった。
…何だかってあいつはあたし以外のメイドから注文をした事がないから。
注文するのにいつもあたしを指名してくる。
…ここの店はそんなシステムないんだけどな。
あたしは湊谷の元へ渋々向かった。
「…ご、ご注文をお伺い致します……ご主人様…」
「今日は食べ物は注文しなーい」
「……で、では…お飲み物でしょうか…?」
「いや?……今日は猫耳メイドの藤ちゃんがいいなー」
湊谷が机に頬杖ついてニヤッと笑った。
「…申し訳ございません。ここはそのようなシステムはないのですが…」
少し怒りを含めた口調で言うと、
「じゃあ、」
湊谷が立ち上がってあたしの耳元で一言。