「お、おい…!あたしに触れるな、このセクハラ男!!」




「メイドはご主人様の指示に従わないとー」



不敵な笑みを浮かべてそう言う湊谷。



こいつ……



「はい、チーズっ!!」



――…カシャ



「撮った写真は現像して藤ちゃんに渡しておくから。学校で藤ちゃんから受け取ってね」



カスミさんはそう言い残して厨房に戻ってった。





「これで藤ちゃんとの思い出がやっと形になったね」



「お前に藤ちゃんと呼ばれると気色悪くて仕方ないのはあたしだけか…」



「多分ねー」



湊谷はあたしが案内もしてないのに、いつもの指定席へ座った。



…本っ当に指定席があるほど通いつめてんだな……



まぁあいつはメイドに興味があるんじゃなくて、“メイド服を着てる鬼会長”を見て笑いに来てるだけなんだがな……



色んな意味で常連役客だ、あいつは。