すべての話が済んだ。そして春登が言った。


「俺・・・無理じゃん。そんなのさ。


なんだ、俺負けてんじゃん。勝ち目なんか無いじゃん。」


「春登。勝ち負けちゃうって。笑美も言うててたやん。


せやけど、俺本気やったから。笑美は誰にも渡したない。」


その恵の目は真剣そのもの。恵、ありがとう。


それから・・・気づくのが遅くなってごめんなさい。


「あー。無理だ。なんか、悔しいけど


納得できる・・・。そんな一途な気持ちに俺は勝てない。」


「また、勝つとか言うてるやん。勝ち負けちゃうって。」


「分かってるって。でも、ホントに・・・恵の気持ちは


一途すぎて。ごめん。俺は笑美と一緒にいれないな。


笑美は恵といるべきだろうな。」


いつの間にか、春登から怒りがなくなっていた。


穏やかな笑顔で、私に微笑んでくれる。