「笑美?俺、負けてるんやで?


ここにいるんは俺やなくて、あいつなんちゃうん?」


「違うよ・・・。私は、恵が好きだから。」


「でも、そんなん春登の気持ちはどないすんねん。」


「春登の気持ちには答えられない。」


「笑美さん?」


そっと寄ってきた春登は、私と恵を交互に見て


話を続けた。


「僕じゃダメなの・・・?」


私の気持ちに迷いは無かった。


「うん。私には、恵しか見えないの。」


「でも、僕は恵に勝ったんだよ?


何で勝った俺じゃなくて、負けた恵なの?」