今は、恵のことで精一杯なんだよ。


だから、何を話しかけられても聞こえない。


恵と話がしたいのに・・・時間が無い。


そろそろ、借り物競争の時間。


「笑美・・・。」


やっと、恵が口をきいてくれた。


「なに?」


「・・・行っておいで。」


そんな、無理して笑わないでよ?


恵が悔しがってること・・・分かってるんだから。


無理して笑わないでよ。


「笑美?恵の言うとおり。


そろそろ行った方がいいよ?」


「・・・はい。」


私は、走ってその場から遠ざかった。