「あれは、恵自身の帽子だよ。」


後ろから聞こえたのは、春登の声だった。


「恵が持ってたのは、俺のじゃなくて


恵自身のもの。・・・俺が恵のバランスが崩れたとき


恵の帽子を取った。でも、俺も驚いたけど


恵、俺の手から自分の帽子を取った。」


早くて見えなかった。でも、あの時


恵はそんなことしてたんだね・・・。


恵・・・ありがと・・・。


「笑美?彼女になってくれる?」


春登の告白・・・。でも、そんな言葉は聞こえてなくて。


「恵?・・・頑張ったね?」