それからまた琉太は
今まで出ていなかった講義の
ノート写しを始めた。
「もう、ちゃんと講義くらい出なよ。
……蛍子さんも心配してるんだし。」
私はデザイン画を描きながら
琉太を見ずに言った。
琉太もノートから目を離さないで答える。
「そーだなー」
琉太が単純なことくらい、
私は良く知ってる。
こういう言い方をすれば、
琉太は簡単に講義に出る。
私の予想は的中だった。
あの日から琉太は毎日講義に出てる。
蛍子さんに褒められて、嬉しそうな琉太。
こんな琉太が見たくて
あんなこと言ったんじゃない。
もちろん琉太が心配だったわけでもない。