琉太のタイプは、
綺麗で大人な女性ってこと。
つまり蛍子さんに
私なんか遠く及ばないってこと。
そんなことは分かってても、
簡単には諦めることなんか出来ない。
「じゃあ、テキトーにやっといて」
そう言って蛍子さんは教室を出て行った。
私が蛍子さんを先生と呼べないのは
そのせいもあったりする。
デザインの大学の
シルバーサークル。
活動内容は結構自由で、
私は今ペアリングのデザインを
考えてる途中。
「はい」と私が返事をすれば、
琉太は
「えーもう行っちゃうのかよ」
と残念そうに蛍子さんに言う。
もう蛍子さんは居ないのに。
ここに居るのは私しか居ないのに……
琉太には
私がまるで見えていないんだ。