少し遠くに座った彼を、あたしは遠慮なく近づきたくて無理やり隣に座った。 『はじめまして、あたしの事知ってる?』 上目遣いで彼の足に手を置く。 あたしの手をジッと見ながら、真顔で 「…知らない」 と答えた。 知らない!? 嘘でしょ? 『…八神奈々ってゆうの、よろしくね?』 ギュッと手を握ると、ゆっくりあたしの顔を見た。 「あぁ…あんたか」 やっぱりあたしの事知ってるんじゃん! 『あれ、名前知られちゃってる?』