あたし達が店に入った瞬間、皆が振り返る。


「え…桐山しおりと八神奈々じゃね?」


「オーラすげー…!」


ざわつく店にすまし顔で入って行くと、八神!と名前を呼ばれた。


こっちこっち!手を振る彼は、一度関係を持った男がいた。


しおりとそちらに入れてもらうと、名前も覚えていない彼が嬉しそうに話しかけてくる。


『ねぇ!噂のイケメン君っていないの?』


うるさいので彼の言葉を遮って聞くと、あぁ…と少し俯いた。


「まだ来てないよ。
来たらきっとすぐ分かる」