独特の本の匂いに落ち着かない。
必死に雅也を探すと、すぐに見つかるその容姿に少し口が緩む。


長机に座って肘を付きながら真剣に本を読んでいる彼の横に静かに座る。


「…何しに来た?」


ハッとして雅也を見ると、メガネをかけた目であたしを睨んでいた。


メガネ…いい!


『え?そりゃもちろんあなたに会いに?』


「出ていけ」


『嘘!読みたい本があったの!』


絶対嘘だろ、という目で見て来る雅也に、本当だから!と勢い良く立ち上がった。