『一度であたしを判断しないで』
肩を押さえて顔をグッと近づけると、思い切り腕を引っ張られいつの間にか彼が上になっていた。
『何…っ』
「今何しようとした?」
『何って…キ……』
「二度とするな。
キスだけは別。
好きな女にしか絶対しないしさせない」
何、それ………
ギッと音を立ててベッドから離れた彼の後ろ姿を見て、ギュッとシーツを握り締めた。
何故だか切なくて、寂しくて、お預けを食らった気分だった。
初めて欲しい物が手に入らない気分を味わった様な気がした。
どうしても、彼にキスをされたい。
ギュッと抱きしめられながら、あの冷めた瞳が惚れた女にどう変わるのか見たい。